
日本にはさまざまな保険があり、公的保険と民間保険に大きく分けられます。以下に、主な保険の種類とその特徴をわかりやすくまとめました。
1. 公的保険
日本では「国民皆保険制度」があり、すべての人が何らかの公的医療保険に加入しています。また、社会保障制度の一環として、いくつかの公的保険が存在します。
(1) 国民健康保険
- 対象者: 自営業者、フリーランス、退職者など、会社員以外の75歳未満の人。
- 特徴:
- 保険料は世帯の収入や人数、自治体によって異なります。
- 医療費の自己負担は年齢や所得に応じて1~3割。
- 傷病手当金や出産手当金などの給付はありません。
- 目的: 病気やケガの際の医療費を軽減。
(2) 健康保険(被用者保険)
- 対象者: 会社員、公務員、教職員とその扶養家族。
- 特徴:
- 保険料は給与に応じて計算され、会社と折半(労使折半)。
- 医療費の自己負担は1~3割。
- 傷病手当金(病気で働けない場合の給付)や出産手当金が受けられる。
- 種類: 協会けんぽ(中小企業向け)、組合健保(大企業向け)、船員保険、共済組合(公務員向け)。
- 目的: 働く人やその家族の健康を守る。
(3) 後期高齢者医療制度
- 対象者: 75歳以上の高齢者(または65歳以上で一定の障害がある人)。
- 特徴:
- 保険料は個人単位で所得に応じて決まり、年金から天引きされる場合が多い。
- 自己負担は1割(現役並み所得者は3割)。
- 扶養の概念はなく、全員が加入。
- 目的: 高齢者の医療費負担を軽減しつつ、制度を維持。
(4) 介護保険
- 対象者: 40歳以上の国民全員(保険料徴収は40歳以上、利用は65歳以上が基本)。
- 特徴:
- 保険料は所得に応じて決定。
- 介護が必要になった場合、サービス費の1~3割を自己負担で利用可能。
- 目的: 高齢化社会での介護ニーズに対応。
(5) 年金保険
- 対象者: 20歳以上60歳未満の国民全員(国民年金)、会社員や公務員(厚生年金)。
- 特徴:
- 国民年金は基礎年金、厚生年金は上乗せ部分を提供。
- 老齢、障害、遺族年金として給付。
- 目的: 老後や万一の際の生活保障。
(6) 雇用保険
- 対象者: 会社員やパート労働者(一定の条件あり)。
- 特徴:
- 失業時に失業給付が受けられる。
- 保険料は給与から天引き(労使折半)。
- 目的: 失業時の生活支援や再就職促進。
(7) 労災保険
- 対象者: 労働者(業務中の事故や病気の場合)。
- 特徴:
- 保険料は全額雇用主負担。
- 業務中や通勤中のケガ・病気で医療費や休業補償が受けられる。
- 目的: 労働者の安全と補償。
2. 民間保険
民間保険は任意で加入するもので、公的保険ではカバーしきれない部分を補う目的で利用されます。生命保険と損害保険に大別されます。
(1) 生命保険
- 終身保険
- 特徴: 一生涯保障が続き、死亡時に保険金が支払われる。解約返戻金あり。
- 目的: 貯蓄と死亡保障の両立。
- 定期保険
- 特徴: 一定期間のみ保障。保険料が安価で、満期時には何も残らない。
- 目的: 一時的な大きな保障ニーズ(子育て期間など)。
- 収入保障保険
- 特徴: 死亡時に年金形式で保険金が支払われ、期間が短くなると総額減少。
- 目的: 遺族の生活費保障。
- 養老保険
- 特徴: 一定期間の保障と満期保険金がセット。保険料は高め。
- 目的: 保障と貯蓄の両方。
(2) 医療保険
- 特徴: 入院や手術時に給付金が支払われる。終身型や定期型がある。
- 目的: 公的保険の自己負担分や差額ベッド代などをカバー。
- 例: がん保険(がん治療に特化)、先進医療特約付き保険。
(3) 損害保険
- 自動車保険
- 特徴: 対人・対物賠償や車両補償。任意加入だが実質必須。
- 目的: 交通事故の経済的リスク軽減。
- 火災保険
- 特徴: 火災や自然災害による住居・家財の損害を補償。
- 目的: 住まいの保護。
- 傷害保険
- 特徴: ケガによる入院・通院・死亡を補償。
- 目的: 日常生活のリスク対策。
- 旅行保険
- 特徴: 旅行中の事故や病気、荷物の紛失を補償。
- 目的: 旅行時の安心。
(4) 年金保険(個人年金)
- 特徴: 老後に備えて積み立て、一定年齢から年金受取。
- 目的: 公的年金の不足分補填。
まとめ
- 公的保険は強制加入で、社会全体でリスクを支え合う仕組み。医療、介護、年金、労働関連をカバー。
- 民間保険は任意で、個人のニーズに応じて選択。生命保険で死亡や病気、損害保険で財産や事故に備える。